20話 『ヤンキー彼氏の大きすぎる偏愛・13』

 答えた瞬間、唇が触れた。条件反射で上がった手を睦に握られる。

 軽いキスがあっという間に深くなった。睦の性急な口づけに、八戸も負けじと応戦した。八戸だってずっと睦に触れたかった。三日前に吐き出せなかった熱がずっと身体の中に渦巻いている。もつれるように小さなベッドに押し倒される。

「……む、むつきゅん」

「なに?」

 少し荒っぽい返答を寄越した睦は性欲むき出しの鋭い目を向けてきた。その迫力に思わず息を呑む。睦は首にキスをしてから、鼻先が触れるほど近づいてくる。

「嫌?」

「嫌じゃないけど、その前に……」

 今度こそ、ウケしかできないと伝えなければ。

 しかし、起き上がろうとする八戸を阻止するように押し返してくる。

「ちょっとむつきゅん……起き上がれないんだけど」

「だって八戸さん、すぐ逃げようとするじゃん」

 むつきゅん、顔が怖い。

 八戸は諦めて身体の力を抜いて仰向けで寝転がった。

「なあ、八戸さん。目、瞑って」

 言われた通りに瞼を閉じた。視界を遮られた中で、着ていた麻のシャツのボタンが外されていく。普段ならちょっと待てと言ったかもしれないが、なぜか目を閉じているだけで落ち着いて状況を受け入れられた。

「この間、八戸さんイかせられなかったの、結構ショックでさ。色々調べたんすよね」

「だからあれは、むつきゅんのせいじゃなくて……」

「ほら、八戸さん目閉じてって」

 反論しようと目を開くと自分にまたがった睦があやすように視界を遮ってくる。八戸は口と目を閉じるしかなかった。

「目が見えない方が敏感になるらしいんで」

 首に濡れた感触がした。睦が音を立てながら口づけている。時折、軽く吸われて跡が残らないかどぎまぎしてしまう。

 そちらにばかり意識をしていると、服越しに乳首を擦られ、驚いて身体が揺れた。

「……んっ」

 思わず漏れた声に首元で睦が笑うのが分かった。

「やっぱ八戸さんって感じやすいっすよね。前も思ったけど」

「なっ……!」

 顔が一瞬で熱くなった。条件反射で目を開くも、睦の嗜めるような視線で再び言葉を飲み込んだ。なされるがままに服を脱がされ、半裸になる。

 少し肌寒さを感じながらも、自分の神経が睦の手の動きに集中している。骨ばった大きな手がゆっくりと八戸の身体を撫でていく。その温かな手に緊張していた身体の力が抜けていく。それと同時に期待という名の熱が身体の奥で温度を上げていく。

「人によって性感帯って色々あるじゃないすか」

「んんぅ……」

「人によっては乳首弄らないとイけないとかそういうのあるみたいで、もしかしたら八戸さんもそういう類かなって思ったんすよね」

(う……鋭い)

 寒さと期待で勃ち上がった乳首を指先で触れられると、熱い吐息が漏れる。そのまま指先で擦られるように捏ねられ、もう片方を舐められると、快感に全身が粟立った。乳首に吸い付く睦の頭を撫でているのか押し付けているのか分からない。八戸は助けを求めるように上ずった声を出した。

「睦、もう……」

「きつくなってきた?」

 優しく聞いてくる睦の声も心なしか上ずっている。頷くとすぐさまベルトが緩められた。八戸も目をつぶったまま身を起こし、下着ごと脱がされるのを手伝った。

「寒くない?」

「大丈夫……」

 正直、寒さなんてどうでもいい。

 しかし睦は全裸の八戸を気遣って、座る八戸を後ろから抱きしめるような形をとってくれた。背中に彼の立派なモノが当たっているが、それはこの際いいだろう。

 背後から手を回された状態で、キャップが外された軽快な音と、粘っこい水音が聞こえてきた。

(本当にローション持ってきたのか)

 彼が背後にいる状態の今なら少しぐらい目を開けてもバレないだろう。しかし八戸は睦に嘘をつきたくなくて、ずっと目を閉じていた。視界を遮られた状態で期待だけが膨らんでいく。彼の手から零れた液体が腹に落ちるとそれだけで息が詰まった。

 人肌で温められたローションで陰茎を撫でられると、もう声が我慢出来なかった。

「あ、ぁ……あぁっ……うぅぅ」

 情けない声を上げながら、前屈みになるが、睦の手の動きは止まらない。ぐちゅぐちゅと音を立てて、八戸を追い詰めていく。張り詰めた陰茎に先走りとローションが混じった液体が垂れていく。

「あっ、睦……待って……待って……ひぁッ」

 ぎゅっと乳首を摘まれて、八戸は悲鳴を上げた。乳首と陰茎を同時に擦られ、訳が分からなくなる。身体の奥が熱を求めて疼いて仕方がなかった。

 許されるなら、今すぐ指を挿れてかき乱したい。

 八戸は浅い呼吸を繰り返しながら、首を横に振った。

「も……無理……睦……っ」

「本当に?」

「……きっ……つい……」

 身体が沸騰しそうだ。きつく閉じた両目の縁が涙で滲んだ。

 イきたいのに、イけない。

 こんな身体の自分を呪った。

(イ……イきたい……ッ!)

 気づけば、睦の手首を掴んで誘導していた。

「もっと下……」

「もしかして、ココ?」

 ぬち……と、音を立てて睦の指が体内に侵入してきた。待ちに待った刺激に後孔がびくびくと痙攣したみたいに指を締め付ける。

「……あ……ふ……ぅ……」

 少し指を挿れられただけなのに声が漏れた。もっともっとという本能に身を任せ、足を開いて彼の指を受け入れる。玉の裏側を指で撫でられると、八戸はたまらず一際高い声を上げた。

「あ……そこ……う……ッ、睦ぅ……」

 自分でも驚くほど甘えるような声でねだる。

「ここ?」

「アッ、そこ……っ、駄目……あっ……は、ぁッ、んんぅ……ッ!」

 何度か同じ場所を擦られただけで、我慢する余裕もなく頭が真っ白になった。あれだけ反応が鈍かった陰茎が反り返るほど勃起して、先走りを垂らしている。睦に内側から撫でられるたび、身体がびくびくと震えて快感が溢れ出した。

「あっ……あっ……」

 絶頂が止まらず、八戸は無意識に逃げるように身を捩った。しかし、睦の片腕が自分の身体を抱きしめて離さない。いつの間にか増やされた指がジュクジュクと音を立てて八戸の中をかき乱す。

「睦……睦……もう……あっ、あぁぁッ……!」

 四つん這いになって、きつくシーツを握りしめ、二度目の絶頂を迎える。目の前が真っ白になって、八戸は快感に身体を震わせた。溢れた涙をシーツに落としながら、荒い呼吸を繰り返した。

 津波のような絶頂に寄り添うように睦がぴったりと背中にくっついてきた。首筋に顔をうずめながら少し笑ったような声が聞こえる。

「八戸さん、こんな風になるんだ」

 恥ずかしさのあまり泣きたい気分の八戸とは真逆で睦は嬉しそうに八戸の肩で頬ずりしている。

「……なんで言ってくれなかったの?」

 なんとも答えづらい質問を投げてくる。八戸は俯いたまま本音を口にした。

「君に……、がっかりされたくなかったから」

「八戸さんがエロいと俺がかっかりすると思ったの? 本気で?」

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